蜉蝣 [詩・本]

雨も上がり、今朝はすっかりお日様も元気そうだ。花に水やりしようと近づいたら鉢の脇に虫がへばりついてる。ウスバカゲロウ?2本の尻尾を広げてゆらゆら揺らしてる。覗き込むと黒い目玉に細長い胴体で、実に弱々しい。

『I was born』<吉野弘 >より一部抜粋
父は無言で暫く歩いた後 思いがけない話をした。
蜉蝣という虫はね。生まれてから二、三日で死ぬんだそうだが、それなら一体、何の為に世の中へ出てくるのかと そんな事がひどく気になった頃があってね
僕は父を見た。父は続けた。
友人にその話をしたら 或日 これが蜉蝣の雌だといって拡大鏡で見せてくれた。説明によると 口は退化して食物を摂るに適しない。胃の腑を開いても 入っているのは空気ばかり。見るとその通りなんだ。ところが、卵だけは腹の中にぎっしり充満していて ほっそりした胸の方にまで及んでいる。それはまるで 目まぐるしく繰り返される生き死にの悲しみが、喉もとまで こみあげているように見えるのだ。寂しい、光の粒々だったね。私が友人の方を振り向いて<卵>というと 彼も肯いて答えた。<せつなげだね>。そんなことがあってから間もなくのことだったんだよ、お母さんがお前を生み落としてすぐに死なれたのは。

いつ読んでも強烈だ( ^ω^ )
さっき見た蜉蝣が雄なのか雌なのかわからぬが、種の保存が出来ているのであれば良いのだけど(^_−)−☆


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